科目名 伝統文化論II(茶) 
副題 茶の湯文化 
担当者 谷村 玲子 講師             
開講期間 春学期  単位 2 
曜日   時限 2 
配当年次 1〜  コース・ナンバー TRD-118-JA 

授業の到達目標
初回から第五週までの講義を通じて,広く学際的そして比較文化の視点から,日本における茶の湯文化とは何かを理解する。それ以降の講義では,喫茶がどのように茶の湯という文化になっていくかを,歴史から学ぶ。最終的な目標としては,茶の湯という日本の伝統文化を,いかに世界の人々に伝えていくかを学生に考えさせたい。  

授業の内容
茶の湯が日常的な喫茶とは大きく異なることを,学生一人一人に理解させたい。植物学におけるチャ,その伝播,日本の茶の湯文化と西洋紅茶文化の違い,茶会の象徴性を通じて。学生は茶の湯が日本独特な芸能文化であることを理解していく。特に本講義では,茶の湯を一;作法・点前という身体技法,二;数々の茶道具,三;茶室・茶庭の三つの要素から説明していく。建築・陶器・文学 等の様々な参考資料そして画像を用いながら,茶の湯を通して,人と物との関係,日本人の美意識,自然観を学生に考えさせたい。
さらに学期後半には,茶の湯史を従来の日本文化史の領域にとどまらず,文化人類学・教育学,社会学といった学際的視点から学生一人一人の興味を刺激し,新しい茶の湯研究の可能性を指摘したい。  

教材
参考文献:村井康彦千 利休』(NHK ブックス281日本放送出版協会1983
熊倉功夫茶の湯の歴史』(朝日選書 404朝日出版社1990
Varley & Kumakura, Tea in Japan, University of Hawaii Press, 1989
毎回の講義ごとにその日の講義内容と史資料を各自に配布する。日本文化の講義ではあるが,広く比較文化や思想史関係,さらに英文参考書も講義の中で紹介の予定。

準備学習(予習・復習)の内容又はそれに必要な時間
翌週の内容を予告するので,特に歴史に関することは時代背景を確認しておくこと。  

成績評価の方法
学期末試験:配布資料と自筆ノートのみ持ち込み可

オフィス・アワー/教員との連絡方法
非常勤講師室または日本文化学科の研究室を通じて。

授業計画
第1週茶の湯研究とは何かを説明する。シラバスの確認を行った後に,正式な茶会のビデオをみて,茶の湯文化に関するアンケート調査を行う。
第2週茶とは:植物としてのチャ。そして西洋の茶文化
第3週茶道具:茶道具,日本と中国の工芸品の違い。道具から見た日本人の美意識の変化
持参の茶杓に各自学生は「銘」を付けて,授業終了時に提出。
第4週茶の湯に見られる自然:茶庭の自然・身体技法,茶道具,そして茶庭における自然。
第5週茶事:四時間にわたる正式の茶会。それぞれの場面での特殊な身体動作,そして水・灰・音(消音)・火の象徴する意味を考える。
第6週茶の湯の歴史:茶に関する中国と日本の最古の文献を読む。遣唐使・平安時代・鎌倉時代の茶の湯
第7週室町時代の茶の湯:会所の茶の湯とやつしの美意識の出現
第8週戦国時代:南蛮文化と自由都市堺。最後に現代に伝わる南蛮文化の影響を考える。
第9週下克上と茶の湯:信長・明智光秀・秀吉の茶会記録を分析する。
第10週利休の茶会:天文十三年(一五四四)〜天正一八年(一五九0)の会。約五十年にわたる利休の茶の湯の変容を茶会から探る。
第11週利休の茶室:空間から見た利休の茶。秀吉の黄金の茶室,安土城,そして利休作と伝わる山崎の待庵を用いて,利休の茶とは何か,人々はなぜ利休の茶に惹かれたのかを考える。
第12週利休の最後と利休後の茶の湯:利休の死のなぞ。利休の死後に茶の湯をリードした戦国大名の茶の湯。
第13週江戸時代の茶の湯と家元制度:三千家の成り立ちの歴史。そして社会学的視点からみた家元制度。
第14週武家の茶の湯:石州流茶の湯と武家茶人
第15週女性と茶の湯:江戸時代から現代へ
出来るだけシラバスに沿って講義を進める所存である。しかし講義は“生き物”であり,受講学生の人数,興味や知識によって,時に内容に変化を持たせる可能性もある。