科目名 近代文化論I 
副題 近代文化のなかの経済思想――〈働くこと〉と〈つくること〉をめぐる思想と文化 
担当者 木村 直恵 准教授             
開講期間 春学期  単位 2 
曜日   時限 2 
配当年次 1〜  コース・ナンバー HIS-132-JA 

授業の到達目標
近代文化は労働,制作,創造,芸術の関係をどのように捉えたかを,西洋と日本の事例について考える。  

授業の内容
19世紀から20世紀の初頭にかけて,西洋においても日本においても物質文明の発展の裏で格差が拡大し,社会的矛盾が広がっていた。そうしたなかで芸術の制作と再定義に携わりつつ社会の変革についても思索したウィリアム・モリスという人物がいる。モリスは工芸家・デザイナーとして現在でも世界中で愛されるデザインの生みの親であっただけではなく,詩人であり社会改革家でもあった。この授業ではマルクス,ラスキン,ラファエル前派,そしてガンジーなど,モリスに連なる芸術と思想の系譜を紹介することとしたい。またモリスの仕事は日本においても早くから紹介され,柳宗悦や宮沢賢治にもインスピレーションを与えることになった。彼らによって考えられた働くこと,ものづくり,社会の変革と革命,エコロジー,そして生活と芸術の関係と役割といった様々なテーマは,今なお重要な問題提起でありつづけるだろう。  

準備学習(予習・復習)の内容又はそれに必要な時間
毎回の授業内容を配布資料などを通じて復習することと,関連する文献を自習すること。  

成績評価の方法
授業への参加態度と期末の試験によって評価する。全授業回数の3分の2以上出席していることが,期末試験を受験する条件となる。

オフィス・アワー/教員との連絡方法
水曜日3時間目
授業時に直接,もしくは学科事務室をつうじて連絡をすること。

授業計画
第1週はじめに
第2週近代的「労働」以前の世界
第3週近代的な労働観と「経済人」の登場――ロビンソン・クルーソーの経営生活
第4週経済学(ポリティカル・エコノミー)の誕生――アダム・スミス『諸国民の富』
第5週理想の工場と理想の労働――ロバート・オウエンとニュー・ラナーク
第6週「疎外」される働く人間――マルクスとエンゲルスの出発点
第7週ソローの森の生活――何のための労働か,生きるに価する生を生きるとは
第8週ジョン・ラスキンと「穏やかな経済学」
第9週ウィリアム・モリスとアーツ・アンド・クラフツ運動
第10週理想の労働協同体――空想的社会主義から近代都市計画へ
第11週日本資本主義の精神――塩原多助・渋沢栄一・福沢諭吉
第12週日本の産業革命と初期社会主義
第13週「民芸」と美しき村――柳宗悦と『白樺』
第14週田園都市構想と農村の労働/芸術――宮沢賢治
第15週まとめ