科目名 民俗文化論III(都市民俗学) 
副題 人工物の霊魂観―つくも神と刀剣の信仰― 
担当者 伊藤 慎吾 講師             
開講期間 春学期  単位 2 
曜日   時限 4 
配当年次 2〜  コース・ナンバー ANT-203-JB 

授業の到達目標
非生物系のものが超常的な,あるいは人間的な存在として創造される文化的諸相を歴史的に捉える。
人工物に霊魂があるという思想が現代の日本にどのようなかたちで現れているのか,そしてその理由について,自分の考えを持つ。  

授業の内容
日本文化の歴史を俯瞰すると,人間以外の異類が関わる領分が非常に大きい。神の領分から日常生活まで幅広く,その関わり方も多岐にわたる。本来生物として,ただ存在するものに様々な意味を与えることによって,文化的表象として立ち顕れていくのだった。
異類という概念は人間以外の存在で,生物・非生物を問わないものである。生物ならば分かりやすいだろうが,非生物,たとえば身の回りの器物・道具の類であっても異類として存在する。年経た道具には魂が宿って妖怪化する。物語世界では人間や動物と一緒に非生物のものがキャラクター化することもしばしばである。昔話「猿蟹合戦」では猿や蟹,蜂と同様に臼や牛糞なども登場する。
非生物に霊魂が宿り,また霊的な力を感じる文化層があり,非生物から妖怪を生み出す文化層があり,非生物をもとにキャラクターを創造する文化層がある。あるものに生あるものとしての価値を与えることで文化創造に寄与させていくという点では生物も非生物もないのである。日本文化に限ってみれば,非生物の中でも人間の手で作り出した器物・道具の類,つまり人工物でさえ霊魂が宿るものと考えられる点が顕著である。
そこで人工物を対象とし,根源的な霊魂観から表現物の中でキャラクター化するものまで押さえることで,その歴史と文化の諸相を取り上げていきたい。  

教材
参考文献:伊藤慎吾妖怪・憑依・擬人化の文化史版,笠間書院2016
随時,プリント資料を配布する。

準備学習(予習・復習)の内容又はそれに必要な時間
次回の内容に関して調べておくこと。  

成績評価の方法
平常点(50%)
レポート(50%)

オフィス・アワー/教員との連絡方法
学科事務室を通す。

授業計画
第1週付喪神とは何か。
第2週物に宿る霊魂。
第3週『付喪神絵巻』を読む。
第4週器物妖怪と付喪神。
第5週『画図百器徒然袋』を読む。
第6週水木しげる作品の付喪神。
第7週京極夏彦作品の付喪神。
第8週畠中恵作品の付喪神。
第9週ライトノベルの付喪神。
第10週中国その他,海外の器物妖怪。
第11週神剣とは何か。
第12週妖刀とは何か。
第13週刀剣の人格化。刀剣男士の文化史的意義。
第14週補論。
第15週まとめ。