科目名 国際政治IV(国際戦略) 
副題 国際戦略の理論と政策 
担当者 加藤 朗 講師             
開講期間 秋学期  単位 2 
曜日   時限 2 
配当年次 3〜  コース・ナンバー POL-327-IC 

授業の到達目標
戦略とは何かを理解した上で,最後に日本はどのような国家戦略,安全保障戦略を取るべきかを検討する。  

授業の内容
本講義では,戦略理論を用いながら,21世紀の国際社会を展望し,最終的には,日本が取りうる対外政策・安全保障政策上の選択肢を検討する。国家戦略とは,ある国家目標の達成のために自らの能力と資源をいか に効果的に用いるかをめぐる理論・技術であり,日本が国際貢献を果たし,あるいは国家・国民の安全と繁栄を確実にするための基本指針となるものである。しかしながら,戦略の策定はさまざまな偏見や誤解や希望的観測など反映されやすく,かつ断片的・不正確な情報・知識に基づくものともなりやすい。そのため, 戦略策定に当たっては,人類が長い歴史を通じて見出してきた経験則に基づく客観性を伴った英知の集積である戦略理論や戦略思想を学ぶことが絶対的に必要と なる。また主要国の指導者たちがどのような発想を持って国際政治を展開しているかを理解する上でも有用である。そうした戦略論の基礎理論や代表的思想を紹介・解説しながら,21世紀の日本の国家戦略について考えていきたい。  

教材
参考文献:石津朋之・永末聡・塚本勝也編著戦略原論版,日本経済新聞社2010
石津朋之 (監修), ジョン ベイリス (編集), ジェームズ ウィルツ (編集), コリン グレイ (編集)戦略論版,勁草書房2012

準備学習(予習・復習)の内容又はそれに必要な時間
ディスカッションを中心に進めるので,予習による事前準備(2〜3時間が基準)が重要となる。参考文献の指定箇所を熟読の上,自らの課題を明らかとして講義に臨んでほしい。  

成績評価の方法
リアクション・ペーパー(30%)と授業内レポート(70%)の点数を合算して6割以上を合格とする。

オフィス・アワー/教員との連絡方法
akira●obirin.ac.jp(change ● to @)

備考
ディスカッションの機会を多く設けたいと考えているので,参考書を活用して,予習・復習を充分に行って授業に臨んでください。

授業計画
第1週導入―戦略とは何か:戦略の概念について概観し,国家戦略とは何かを考える。
第2週戦争の原因:国家にとって最大の戦略は戦争の回避である。戦争はなぜ起きるのか,戦略の起点となる戦争の原因について考察する。
第3週近代の戦略思想(1)総力戦戦略:国家が総力を結集した第1次世界大戦で欧米各国がどのような総力戦戦略を採ったかを分析し,総力戦戦略の失敗について考察する。
第4週近代の戦略思想(1)総力戦戦略:第2次世界大戦で日本は総力戦戦略の下国家総動員体制で戦争に臨んだ。しかし,結果は惨憺たる敗戦であった。一体いどこが間違っていたのだろうか。日本の総力戦戦略の失敗の本質を探る。
第5週非対称戦の戦略:第2次世界大戦後は内戦やゲリラ戦,そして9.11以降は対テロ戦争のような紛争主体が国家と非国家のような非対称な武力紛争が猖獗を極めている。このような非対称戦にどのような戦略が採られているかを検討する。
第6週人間の安全保障戦略:冷戦終焉後,国家の安全保障戦略に対抗して人間本位の人間の安全保障の概念が広がってきた。では具体的にどのように人間の安全保障が実践されているのか,その戦略の実態を明らかにする。
第7週民主主義による平和戦略:「民主主義国家は戦争をしない」というテーゼははたして正しいか。正しいとするなら,非民主国家を民主化するための戦争は許されるか。イラク戦争にも通底する民主主義の平和戦略をあらためて検討する。
第8週人道的武力介入戦略:ルワンダの大虐殺を見過ごした反省から国際社会はコソボ紛争で虐殺を予防する目的で武力を行使した。人を救うために人を殺傷するという矛盾を孕んだ人道的武力介入とは何だろうか。
第9週軍備管理戦略:核兵器,化学兵器等の大量破壊兵器だけでなく,通常兵器や兵器に使用される資機材や原料,技術を管理することで国際社会は戦争を抑制する努力を続けてきた。その歴史的変遷や現状を検証する。
第10週技術戦略:国力の基礎には技術力がある。大英帝国,ドイツ,ソ連そしてアメリカなど,大国といわれる国家は必ず技術大国とりわけ軍事技術大国であった。軍事技術とは何か,どのような戦略が構築されてきたかを検証する。
第11週文化戦略:国力には軍事・経済のハードパワーと文化のソフトパワーがある。21世紀の今日軍事戦略だけでなく。ソフトパワーの文化に基づく戦略も国家戦略の重要な要素となっている。文化戦略とは何かを検証する。
第12週国際法の戦略:中国は「三戦」の一つとして,「法律戦」を掲げている。国際法や国内法を駆使して国益を追求する戦略は中国だけでなく各国とも重要な国家戦略の一つである。その戦略の実態を考察する。
第13週日本の国家安全保障戦略:第二次世界大戦後の日本の国家戦略を冷戦時代の吉田ドクトリンや現在の安倍ドクトリンを参考に検証する。
第14週日本の防衛戦略:日本の防衛戦略の歴史と現状を日米同盟を軸に検証する。,
第15週21世紀の日本の国家戦略:これまでの戦略を参考に,将来に向けた日本の国家戦略についてみんなで討議する。