科目名 人間関係論V(地域社会) 
副題  
担当者 長野 慎一 講師             
開講期間 秋学期  単位 2 
曜日   時限 2 
配当年次 1〜  コース・ナンバー SOC-005-GD 

授業の到達目標
1.「地域」という語の多義性を,社会情勢と学問的背景を踏まえた上で,理解・表現できる
2.「地域内」,「地域間」の間に「差異」が生まれる社会的背景を理解・表現できる
3.「(諸)地域」に生きる一個の,あるいは集合的な行為者として,いかに「地域」に関わりうるのかを,現実的に,かつ,想像的に構想できる  

授業の内容
地域という語で何を意味するか,あるいは何を期待するかは,この語が使用される歴史社会的脈絡によって,さらには,その語を使用する主体の位置によって,異なっている。本講義では,この差異に配慮しつつ,「地域」なるものが,具体的現象として立ち現れてくる様相を概括的に説明する。全講義に積極的に参加することで,地域社会の多様な姿を具体的にイメージし,己がそこでいかなる位置を占め,いかに振る舞いうるのかを,考える力を養える。  

教材
参考文献:森岡清志ほか地域の社会学有斐閣2008
渡辺秀樹ほか越境する家族社会学学文社2014
齋藤純一公共性岩波書店2000
齋藤純一自由岩波書店2005

準備学習(予習・復習)の内容又はそれに必要な時間
講義の内容は,大きく次のように分類できます。1「地域」概念,2ケアと地域社会,3マイノリティと地域社会,4地域社会とガヴァナンス。これにあわせてよむべき文献を配布します。毎回の授業の前後にそれらを熟読してください。  

成績評価の方法
2〜3回のレポート(100%。提出は必須)。小レポなどを加点対象にすることがある(提出は任意)。

オフィス・アワー/教員との連絡方法
shin77shin77●yahoo.co.jp(change ● to @)

授業計画
第1週イントロダクション:「地域」という概念の多義性・多重性を説明しつつ講義全体の流れを説明
第2週「地域」を成り立たせる基本項目。1空間と時間 2制度的枠組み:公権力,市場,政治とメディア,NGO/NPO 3結合様式(1)家庭,職域,近隣,社交,(2)個人,集団,組織,制度,ネットワーク
第3週ケアを支える場としての地域〔続く3回の講義に対する総論に当たる〕。誰もが他者によるケア(育児,介護,介助,広く身の回りの世話)を前提に己の生活や生存を確保している。本講では,特にケア・ネットワークの生成の場としての地域に焦点を当てる。
第4週子育てを支える地域社会。「育児ネットワーク」という概念に着目し,母子密着・育児の孤立化を防ぎ,ワーク‐ライフ・バランスを促すネットワークの可能性を説明。
第5週高齢者と地域社会。介護される側と介護をする側の関係性が,国・地方自治体の政策,地元で活動する福祉事業者の質や量,家族構成や近隣関係などとの関係でいかに変容するかを説明。
第6週障がい者と地域社会。障がい者が「自立」を求める中で,「施設」とも「家族」とも異なる領域として登場してきた「地域」について説明。
第7週小括。福祉資源の供給様式として,自助,市場,再分配,互酬の相違を意識しつつ,ケイパビリティ(A.セン)の観点から,ケアネットワークとしての地域にどの供給様式(の組み合わせ)が相応しいかを考える(人数が少なければ討論実施)。
第8週マイノリティによる地域再編〔続く4回の講義に対する総論に当たる〕。地域の社会統合のあり方は,「マイノリティの日常生活」が顕在化する中でいかように変化しうるかを説明。
第9週エスニック集団の集住と地域社会(1)。永住的なエスニック集団が,受け入れ国の政策,地方自治体の政策,既存の近隣社会との関係でいかに独自の生活圏を生み出してきたかを説明。事例は在日コリアン社会。
第10週エスニック集団の集住と地域社会(2)。定住的なエスニック集団が,受け入れ国の政策,地方自治体の政策,既存の近隣社会との関係でいかに独自の生活圏を生み出してきたか,のみならず,社会的困難にたたされうるかを説明。事例は日系ブラジル人社会。
第11週性的少数者と脱地域化/再地域化。性的少数者の生活領域は,都市的下位文化には還元不可能な,時間的・空間的広がりを見せている。この変容を,当事者の集合意識の変容とともに,説明。
第12週ジェンダーと時間−空間。地域がジェンダーによっていかに異なる時間と異なる空間の組み合わせてとして経験されるか。その組み合わせの再編がいかに生じうるかを説明。
第13週小括。マイノリティの経験に照らして,地域社会が主体の社会的位置ごとによっていかに異なる世界として現われうるか,さらに,その中でいかに共生というものを構想していくべきかを考える(少人数ならば討論を行う)。
第14週地域社会とガヴァナンス(1)。地域社会の創出・再編,諸問題の解決に対して共同して責任を負う「能動的主体」としての「市民」の可能性について,説明。焦点はガバメントとガバナンスの相違。
第15週地域社会とガヴァナンス(2)。地域社会の創出・再編,諸問題の解決に対して共同して責任を負う「能動的主体」として「市民」の可能性について,説明。焦点は公共性。